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第65回 全日本花き品種審査会 ユーストマ

令和元年10月21日(月)広島県立総合技術研究所農業技術センター(東広島市八本松町)にて実施した。本年は、育苗期間中には低温寡日照に見舞われ、8月中下旬には降雨が続き日照が少ないなど、例年と同様に難しい栽培条件となった。また、栽培温室において土壌病害菌による生育の停滞や立枯れが発生したことから、 通常2反復で行う審奎を、病害の影響が少ない1反復のみに絞って採点を行うこととした。

審査会の開催にあたり、農業技術センターを代表して栗久宏昭・センター長より御挨拶があり、また日種協花き栄養繁殖性植物部会を代表して谷口和範氏(住化農業羮材㈱より謝辞が述べられた。

今回は農研機構野菜花き研究部門花き生産流通研究領域の福田直子・主席研究員を審査長として打ち合わせを行い、栽培担当の梶原真ニ・研究員(エルダー)より耕種概要の説明があった後に、立毛100点満点の審査を実施した。

審査温室全景

審査温室全景

審査の様子

審査の様子

  • 耕種概要

    栽培場所

    広烏県立総合技術研究所農業技術センター内ガラス温室(標高224m)

    前作

    トルコギキョウ(前年度品種審査会)

    土質

    沖積土

    試供品種

    24点

    栽培規模

    1区40株、2区制

    播種

    5月20日 基肥を混合したメトロミックス350を充填した406穴ペーパーポットに播種した。底面給水させた後にポリフィルムで被覆し、暗黒・10℃条件の冷蔵庫内で6月24日まで静置した。

    育苗

    6月24日に冷蔵庫から搬出し、7月29日まで40%遮光の白寒冷紗を被覆したガラス温室において、なりゆきの温度で育苗した。育苗中の灌水はミスト灌水(6〜18時の1時間毎に50秒の散水)で行った。

    定植

    7月29日に、10cm × 10cm × 6目のフラワーネットを利用して、中央2条を空けた4条並木植えで行った。

    管理

    7月8日~9日に蒸気消毒を行った。
    栽培温室内の電照について、100V75Wの白熱電球を用い、畝上1.5mの高さに間隔を2.5m×4mで10球/a設置した。17時~21時と3時~8時に点灯させて18時間日長とした。また、LED防蛾ランプを定植日から審査会当日まで、終夜(17〜7時)点灯した。昼間の昇温抑制を目的として、定植日から9月30日まで40%遮光の白寒冷紗を被覆し、30℃を目安に天窓を開放した。定植から10月上旬までは、強風時を除いて側窓を常時開放し、それ以降は天候・気温に応じて側窓の開閉を行った。

    仕立て万法として、供試した全品種の主茎頂花蕾は適時摘除したが、葉先枯れ症により芯止まりとなった株は放任とした。

    施肥

    基肥 6月25日 バーク堆肥 1000kg/a
    7月16日 環境分解型被覆肥料(20-0-13) 0.5kg/a(N成分換算)

    薬剤散布

    広島県病害虫防除基準に従い、殺虫剤を3回、殺菌剤を3回散布した。

    ドレンベッド栽培温室の視察

    ドレンベッド栽培温室の視察

  • 生育期の気象状況・生育状況

    気象経過について、6月6半旬は最高、最低および平均気温ともに平年よりやや高かったが、7月5半旬までは平年より低く推移した。7月6半旬~8月3半旬は高めに推移したが、8月4半旬~6半旬は低めに推移した。 それ以降、9月5半旬および10月2半旬を除いて高めに推移した。

    降水量は 6月6半旬~10月2半旬で平年比93%であったが、7月4半旬と8月6半旬に100mmを超える降水があった。9 ~10月の降水星は、平年よりもかなり少なかった。

    日照時間は6月6半旬~10月2半旬は524時間で、平年の89%であった。8月4半旬~6半旬は降雨により短かったが、9月2~4半旬および10月2半旬は長かった。

    育苗温室(6月24日~7月29日)の日最高気温は、27℃~36℃の範囲で推移し平均が30.6℃であった。 日最低気温は、17℃~23℃で推移し、平均は21.2℃であった。

    栽培温室(7月29日~10月18日)の日最意気温は、27℃~39℃で推移し平均で32.3℃であった。日最低気温は、9℃~27℃で推移し平均で19.9℃であった。

    生育および開花状況については、育苗開始後に子葉の展開を確認したが、定植までに殆どの株が枯死し、定植できすに審査に供試することができなかった品種・系統がみられた。

    定植後の生育状況について、発蕾日は、8月28日~9月7日であった。発蕾日数は、最も日数が小さい品種・系統で30日、最も大きい品種・系統で40日となった。

    開花日は9月19日~10月7日であった。開花日数は、最も日数が小さい品種・系統で52日、最も大きい品種 ・ 系統で75日となった。

    10月18日時点の開花株率は、一部の品種・系統を除いて13~100%であり、21品種・系統のうち15品種・系統のいずれかの反復区において90%以上の株が開花した。

    葉先枯れ症は定植した21品種・系統のうち9品種・系統で発生し、うち1品種・系統では発生程度も特に大きかった。

    定植した21品種・系統においてロゼット株の発生はなかった。しかし、一部の品種・系統では定植後の生育が著しく緩慢な株が散見され、特にA反復区では生育の停滞や枯死が多くみられた。8月下旬に萎凋した株を検鏡したところ、Fusarium oxysporumが確認された。

  • 結果発表および講評

    審査が終了した後は、栽培技術研究部の伊藤栄治部長による農業技術センター内の試験温室のご案内があり、参加者はドレンベッドを使用したユーストマ栽培試験や、ネイキッド培地を利用した栽培試験温室などを視察した。

    その後、福田審査長より入賞品種が発表され、続いて講評として「今回は、育苗中の苗の枯死や、土壌病害の発生など、ユーストマという品目における栽培の難しさが感じられる審査会となった。フザリウムは実際の栽培現場でも問題になっており、今回の栽培結果は病害菌ヘの耐性も含め、一つの参考になるのではないかと思われる。重要な切り花品目であるコーストマ生産 の安定化をもたらすためには、抵抗性も視野に入れた育種もお願いしたい。ユーストマの育種は成熟の段階を迎えているが、新しい作型への対応や歩留まりの向上など、生産者の収入に繋がるような品種を作り出して頂ければありがたい。」との言葉があった。

    終わりに、日種協広島県支部を代表して沖藤詳造・支部長(㈱ダルマシード)より、入賞者への祝辞と併せ、厳しい条件の中で栽培管理をして頂いた担当者への御礼の言葉を以て閉会した。

    審査結果【ユーストマ(秋出し)】(100点満点)

    順位得点等級品種名出品者
    187.171等特パティオグリーン住化農業資材㈱
    286.002等TU-948タキイ種苗㈱
    383.172等SM5-103M㈱サカタのタネ
    581.423等16-356福花園種苗㈱
    681.333等ナイチンゲールナイト㈱ミヨシグループ
    780.673等16-085福花園種苗㈱
    780.173等K491カネコ種苗㈱

    1等特別賞「パティオグリーン」

  • 審査員内訳

    官公審査員

    ・農研機構 野菜花き研究部門
    ・石川県農林総合研究センター
    ・高知県農業技術センター
    ・熊本県農業研究センター農産園芸研究所
    ・広島県立総合技術研究所農業技術センター

    日種協

    ・花き栄養繁殖性植物部会員
    ・広島県支部会員