このページではダウ・アグロサイエンスが発行する「作物ブックシリーズ」『果菜ブック』の内容に準拠し、アブラナ科野菜の栽培時に問題となる病害虫についての解説を掲載しております。
生産の助けにご活用ください。
病害発生時期(模式図)
害虫:加害部図解
※害虫名をクリックしていただくと詳細が表示されます。
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ウリノメイガ(ワタヘリクロノメイガ)
チョウ目/ヤガ科
幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- どんな虫?
- ウリ科作物を加害、オクラやワタなどアオイ科植物にも発生
- 全国で発生するが、寒冷地では越冬不可能
- 成虫の羽は、中央が自い半透明で周囲が黒褐色の太いオビで囲まれているのが特徴的。雄の尾端は大きなぽんぼり状の毛塊があり目立つ
- 秋に栽培する抑制キュウリで加害が大きい
- 生態は?
- 関東以西では休眠せず幼虫態で越冬
- 年3〜4世代発生
- 6〜11月に成虫出現
- 葉裏に1個ずつ産卵
- 1〜4齢幼虫は集団で食害。若齢期は葉裏を食害
- 成熟幼虫は摂食量が増し、分散して葉や果実を食害
- 葉を綴り合わせ、内部に薄い繭をつくり蛹化
- 被害は?
- 若齢幼虫は葉裏から表皮を残し食害。葉表側は太い葉脈の周囲が白く透け、所々に穴があく
- 成熟幼虫は葉を綴り合わせ内部を食害、ひどい場合、葉脈だけを残す。果実にも、表面をえぐり取られたような食害痕をもたらす
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アブラムシ類
カメムシ目/アブラムシ科
上:モモアカアブラムシ幼虫(集団)
下:ワタアブラムシ- 薬剤
- トランスフォームフロアブル
- どんな虫?
- 果菜類では、モモアカとワタが主な発生種
- 虫の直接加害のほか、ウイルス病を媒介する
- 増殖能力が高く短期間に大コロニー(子孫集団)をつくる
- 春期と秋期に発生のピークがある
- 殺虫剤抵抗性が発達しやすい
- 生態は?
- モモアカ 周年発生するが夏期は非常に少ない。寒冷地では卵越冬。ワタ 周年発生するが冬期は非常に少ない。越冬は暖地では雌成虫、寒冷地では卵だが、その他は混在
- 苗による持ち込み、有翅虫の飛び込みで発生。定着後は単為生殖で、繰り返し増殖
- 好適条件では7~10日間で1世代を経過、1カ月で数千匹に
- 高密度や作物の栄養状態が悪くなると有翅成虫が出現し移動分散
- 被害は?
- 集団で葉、茎、花器に密集し、汁液を吸収
- 寄生葉は黄変。新葉・新梢では寄生により葉が巻き上がったり萎縮。その後の伸長を阻害
- 寄生部位より下位の茎葉は、甘露(排泄物)の付着によりススが発生
- 各種ウィルス病を媒介の他、病害抵抗性低下を招く
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ハモグリバエ類
ハエ目/ハモグリバエ科
トマトハモグリバエ ナスハモグリバエ
マメハモグリバエ アシグロハモグリバエ- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ダブルシューターSE
- どんなムシ?
- 果菜類では、複数種が発生。見分け難い
- 幼虫は、葉肉内をくくねと線状に食害するため、工カキムシとも呼ばれる
- 3種とも海外から苗等に付き侵入。各種薬剤に抵抗性を示す
- ナスハモグリバエは局地的の発生で近年、アシグロハモグリバエも侵入し、北海道・東北で、トマト、てんさいなどに発生
生態は? 種類 トマトハモグリ マメハモグリ ナスハモグリ 寄種植物 キュウリ、スイカ、トマトで多発。ナスでは小発。ウリ科を好む。 トマト、インゲンマメ、チンゲンサイなどで多発。ナスでは小発。キク科を好み、ウリ科では小発。 キュウリ、メロン、トマトで発生多い。ナスでは小発。キク科では発生しない。 発生時期
(野外)
発生回数/年休眠性なし
5~11月
約10回休眠性なし
5~11月
約10回蛹態で越冬
4~10月
(主に施設)
4回程度成虫胸部背面 光沢あり 光沢なし 光沢あり 幼虫食害痕 葉表にくっきり 葉表にくっきり 主に葉裏にくっきり 幼虫体色 濃黄色 濃黄色 乳白色 蛹化場所 地面 地面 葉裏、地面 - 被害は?
- 幼虫の葉肉内への食害により、葉の表皮下が不規則な線状に食い荒らされ白く残る
- 展開葉を選んで産卵するため、下葉から上葉へと被害が進む。多発すると下葉から枯れ上がる
- トマトでのマメハモグリバエの要防除水準としては、幼虫30頭/株以上とされている
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ミナミキイロアザミウマ
アザミウマ目/アザミウマ科
上:幼虫 下:成虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
※アザミウマの種類にしたがって、有効な薬剤を選択する。ローテション使用を心掛ける。
- どんなムシ?
- 22科以上の植物に寄生、ウリ科やピーマンでの被害が大きいが、トマトとイチゴには加害しない
- 熱帯~亜熱帯に分布。本には1978年に侵入
- 施設栽培作物を中心に発生。非休眠性だが、低温に弱く降霜地帯では野外では越冬できない
生態は? 越冬 九州以北では露地越冬困難 発育期間 卵~成虫(羽化) 15℃:約45日 25℃:約15日 発育回数(路地) 暖地:10世代前後 産卵数 80~95 コロ二一(集団) 幼虫は多数集合 ウィルス媒介 MYSV、WSMoV 誘引色 白色、水色 MYSV:メロン黄化えそウィルス
WSMoV:スイカ灰白色斑紋ウィルス- 被害は?
- 《トマト》では、「ミカン」と「ヒラズ」の産卵痕が原因で、果面に「白ぶくれ症状」(果皮が白く盛り上がり着色異常になる)が発生する。また、トマト黄化えそ病を媒介
- 《ナス》では「ミナミ」の被害が顕著。果面に茶褐色のザラついたケロイド状の傷をつくる。葉には葉脈に沿って両脇に小さな白斑が多数生じる。他2種は加害するが実害は少ない
- 《キュウリ》「ミナミ」の成幼虫は葉を好み集中的に加害する。葉裏は銀色に光り(シルバーリング症状)、さらに加害が続くと褐変し枯れる。果実は表面に鮫肌状の傷などができる。また、キュウリ黄化えそ病を媒介。「ミカン」による葉の加害は白色(やがて褐色)の小斑点を多数生じさせ、果実に傷などをつくる。「ヒラズ」も加害するが実害は少ない
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ミカンキイロアザミウマ
アザミウマ目/アザミウマ科
上:夏型 下:冬型
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
※アザミウマの種類にしたがって、有効な薬剤を選択する。ローテション使用を心掛ける。
- どんなムシ?
- 50科200種類以上の植物に寄生、果菜類や花卉で被害が大きい
- 北米西部原産、日本では1990年に侵入確認。現在、北日本を除き全国に分布
- 体色は季節変化し、低温期は茶褐色(ヒラズハナアザミウマに酷似)、高温期は黄色
生態は? 越冬 関東以西では卵~成虫で露地越冬が可能 発育期間
卵~成虫(羽化)15℃:約34日
25℃:約13日発育回数(路地) 寒冷地:2~3世代
暖地:7~10世代産卵数 150-300 コロニー(集団) 集合性は弱い ウィルス媒介 TSWV(媒介力強い) 誘引色 黄色 TSWV:トマト黄化えそウィルス
- 被害は?
- 《トマト》では、「ミカン」と「ヒラズ」の産卵痕が原因で、果面に「白ぶくれ症状」(果皮が白く盛り上がり着色異常になる)が発生する。また、トマト黄化えそ病を媒介
- 《ナス》では「ミナミ」の被害が顕著。果面に茶褐色のザラついたケロイド状の傷をつくる。葉には葉脈に沿って両脇に小さな白斑が多数生じる。他2種は加害するが実害は少ない
- 《キュウリ》「ミナミ」の成幼虫は葉を好み集中的に加害する。葉裏は銀色に光り(シルバーリング症状)、さらに加害が続くと褐変し枯れる。果実は表面に鮫肌状の傷などができる。また、キュウリ黄化えそ病を媒介。「ミカン」による葉の加害は白色(やがて褐色)の小斑点を多数生じさせ、果実に傷などをつくる。「ヒラズ」も加害するが実害は少ない
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ヒラズハナアザミウマ
アザミウマ目/アザミウマ科
上:夏型 下:冬型
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
※アザミウマの種類にしたがって、有効な薬剤を選択する。ローテション使用を心掛ける。
- どんなムシ?
- ナス科、ウリ科、マメ科、ユリ科など34科の植物に寄生、野の多くの雑草の花で見られる
- 在来種で、日本全国〜温帯ユーラシアに広く分布
- 幼・成虫は主に花に棲息
- 短日条件で雌成虫は生殖休眠に入る(耐寒性が増す)。越冬は成虫のみ
越冬 成虫(北海道、露地でも越冬) 発育期間
卵~成虫(羽化)15℃:約34日 25℃:約10日 発育回数(路地) 寒冷地:4世代前後 暖地:10~12世代 産卵数 190(15℃)~500(25℃) コロ二一(集団) 花に成幼虫が集まる ウィルス媒介 TSWV 誘引色 黄色、白色 TSWV:トマト黄化えそウィルス
- 被害は?
- 《トマト》では、「ミカン」と「ヒラズ」の産卵痕が原因で、果面に「白ぶくれ症状」(果皮が白く盛り上がり着色異常になる)が発生する。また、トマト黄化えそ病を媒介
- 《ナス》では「ミナミ」の被害が顕著。果面に茶褐色のザラついたケロイド状の傷をつくる。葉には葉脈に沿って両脇に小さな白斑が多数生じる。他2種は加害するが実害は少ない
- 《キュウリ》「ミナミ」の成幼虫は葉を好み集中的に加害する。葉裏は銀色に光り(シルバーリング症状)、さらに加害が続くと褐変し枯れる。果実は表面に鮫肌状の傷などができる。また、キュウリ黄化えそ病を媒介。「ミカン」による葉の加害は白色(やがて褐色)の小斑点を多数生じさせ、果実に傷などをつくる。「ヒラズ」も加害するが実害は少ない
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オオタバコガ
チョウ目/ヤガ科 Hellula undalis
幼虫
- 薬剤
- スピノエース顆粒水和剤
- ファルコンフロアブル
- どんなムシ?
- 広食性で、ナス科野菜をはじめ、レタス、キャベッなどに加害
- 94年頃から多発が続き、被害地域・作物とも拡大。各種殺虫剤に耐性を示し問題に
- 高温性害虫だが、成虫は飛翔力が高く強風で長距離移動。夏期に北日本で発生することも
- 近似種にタバコガがいる(幼虫の見分けは困難)
- 生態は?
- 蛹で越冬。温暖地以外での生存は難しい
- 年3〜5回発生、8月以降に高まる
- 新葉や芽、蕾に一粒すつ産卵。1雌の産卵数は約2,000粒
- 発育零点(幼虫):13.2℃、生育期間(卵・幼虫[5〜6齢]・蛹):約36日/25℃
- 孵化〜2齢幼虫は芽、花蕾、柔らかい葉を食害、3齢期を過ぎると果実に食入
- 成熟幼虫は浅い土中で蛹化
- 被害は?
- 8月中旬以降定植の作型で特に被害
- 幼虫は果実に食入して食害。次々と数個の果実を食い歩く
- 食害果は侵入孔より腐敗する
- 茎に食入されると芯折れの被害が出る
- 食入幼虫は薬剤防除が困難のため、若齢期の防除が肝要
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トマトサビダニ
ダニ目/フシダニ科
コロニー
- どんなムシ?
- 86年に沖縄で初発見。現在は東北まで拡大
- 苗の移動、風・人・昆虫に運搬され圃場に侵入
- ナス科を中心に加害。特に施設栽培トマトでの被害が激しく、枯死することも
- 高温・乾燥条件で多発
- 農薬使用を抑えたハウスで問題となる
- 虫が見つけにくく、被害症状から病気と誤診されやすい
- 生態は?
- 休眠性は確認されていない。無霜地帯や施設内では越冬が可能と思われる
- 生育:卵→第1若虫→第2若虫→成虫(25℃では約5.5日)
- 最適気温は25~27℃、湿度は30%
- 新芽・新梢や幼果などにコロ二一(集団)で加害
- 卵はコロニー内に、1雌の産卵数は約50卵
- 被害は?
- [トマトの場合]
- 寄生は新芽や蕾から始まり、初期症状は、新芽の茎が茶色を帯びる
- 被害は下位葉から次第に上位葉に向かって枯れ上がっていく(土壌病害被害に似る)
- 多発時には果実も加害。果面が梨のように緑褐色で鮫肌状になり亀裂が多数入る
- 寄生された葉裏や茎は、光沢を帯びた緑褐色になり最後は褐変し枯れる
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オンシツコナシラミ
カメムシ目/コナジラミ科
幼虫
- 薬剤
- ダブルシューターSE
- トランスフォームフロアブル
- どんなムシ?
- 非常に広食性で多くの野菜や花に寄生
- 植物に触れて揺すると小さな白い成虫が舞い立つ
- 64年に日本に侵入
- 冬~初夏に施設栽培で発生が多い
- 高温時(30℃以上)では生育が抑制される
- 生態は?
- 休眠性がなく、関東以西では各生育ステージで野外でもキク科雑草などで越冬可能
- 発生回数:露地では年6回程度(関東)、施設内では10回以上
- 産卵は上方の若葉の裏面に20卵前後をリング状に並べる。1雌の産卵数は100~200
- 卵期間は約1週間。ふ化幼虫は周辺を移動し吸汁場所で固着、3齢幼虫を経て、蛹から成虫に(生育期間:23日/25℃)
- 被害は?
- 葉が成幼虫の吸汁加害を受けても黄変や萎縮は現れない
- 排泄物(甘露)が原因のススが発生し作物の汚れが問題
- キュウリ黄化ウイルス病をキュウリやメロンで媒介。発病症状は葉の黄化、巻葉、側枝の伸長不良などを引き起こす
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ナミハダニ
ダニ目/ハダニ科
幼虫
- 薬剤
- ダブルシューターSE
- どんなムシ?
- クモと同じグループ
- 非常に広食性
- 体色が黄緑色と赤みがかったタイプがあり、背中の左右に黒っぽい斑紋。赤い系統は従来、別種(ニセナミハダニ)とされた
- 近似種にカンザワ八ダニ(成虫:赤色)があり各種作物で問題になる
- 高温乾燥下で多発
- 年発生回数が多く、薬剤抵抗性がつきやすい
- 生態は?
- 寒冷地は雌成虫で休眠。暖地は非休眠。中間地は混在
- 年発生回数は、暖地では15回以上(25℃では約10日で1世代)
- 生育は卵→幼虫→第1若虫→第2若虫→成虫
- 1雌は100~150卵を産下、交尾雌からは雄と雌が、単為生殖では雄だけ発生
- 主に展葉中~展開葉に寄生。密度が高まると細い糸でくるまれたようになる
- 歩行のほか吐いた糸を風に乗せ分散
- 被害は?
- 葉裏を口針で刺し養分吸汁するため、針で突いたような無数の白点が生じ同化作用が低下
- 作物先端部の葉や新芽に集中的に多発生すると、加害部はしおれ白い糸で覆われる
- 株全体に寄生が拡大すると葉は褐変や落葉を生じ、生育が阻害される
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チャノホコリダニ
ダニ目/ホコリダニ科
成虫と卵
- 薬剤
- ※同時防除対象などを考慮し適剤を選択
- どんな虫?
- 成虫で体長0.2mm程、肉眼では見にくい
- ナス、キュウリ、トマト、イチゴの他、茶や柑橘でも発生
- 本州以南で発生する。北海道では発生なく、東北・北陸では局地的
- 柔らかい新芽・蕾・幼果を吸汁。被害は加害部が肥大後に現れるため、被害部に虫は見つからない
- 温度の高い夏期に発生が多い
- 生態は?
- 野外越冬は成虫態で、枯れた作物や雑草上
- 本圃への侵入は苗の持込み、未熟堆肥、前作の残りなど。害虫の体に付き運ばれることも
- 生育:卵→幼虫→(静止期幼虫)→成虫で、ハダニ類の若虫期間がない
- 発育日数(卵~成虫:25℃で7~11日、30℃では4~7日
- 交尾雌からは雌・雄両方が、未交尾からは雄が産まれる
- 1雌の産卵数は15~30卵
- 被害は?
- [ナスの場合]
- 成虫も幼虫も新芽や花卉、幼果に寄生する。食害された新芽は展葉後に葉裏が鮫肌状になる。食害が進むと葉は奇形になったり、萎縮して芯止まりとなる。蕾では萎縮したり奇形の花になり結実しない。幼果では主にヘタ部に寄生するので、へタ部は灰白色に変色し商品性を減少させたり、果実は奇形になることもある
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タバココナジラミ
カメムシ目/コナジラミ科
幼虫
- 薬剤
- ダブルシューターSE
- トランスフォームフロアブル
- どんな虫?
- 寄生性や薬剤耐性などが異なる複数の系統が存在
- バイオタイプBとQが果菜類で問題。区別は難しく、遺伝分析(PCR法)による
- Bは従来シルバーリーフコナジラミと呼ばれ、80年代後半海外から侵入
- Qは薬剤抵抗性問題から別系統として認知。全国的に拡大しており25都府県で確認され広域に発生している
- 生態は?
- オンシツコナジラミに比べ低温に弱く、暖地(沖縄など一部)を除き野外越冬は困難
- 加温施設内で越冬
- 基本的な生育や習性はオンシツコナジラミと共通する
- 被害は?
- 成幼虫の吸収害やスス病による被害は、オンシツコナジラミと同じ
- バイオタイプBは、トマト果実に着色異常やカボチャの葉の白化症状を引き起こす
- 両系統とも、全滅型病害であるトマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)を媒介するため大きな問題となっている
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ニジュウヤホシテントウ
コウチュウ目/テントウムシ科
幼虫
- どんな虫?
- ナス、ジャガイモ、トマト、ホウズキなどナス科植物で発生する
- 年平均気温14℃を境に、北の地帯ではオオニジュウヤホシテントウが、南の地帯ではニジュウヤホシテントウが棲息。境界地帯では2種が混在する。一部にはルイヨウマダラテントウもナス科植物で発生する
- 両種の判別は、体の大きさ、羽の光沢、斑紋の大きさ、斑紋の形状で分類する。両種とも卵塊で産卵するが、ニジュウヤホシテントウでは、卵は小さく卵と卵の間は狭い
- 生態は?
- 両種とも成虫で越冬し、年に2回発生する
- 卵は葉裏に卵塊で産卵されることが多い。1齢幼虫は集団を形成していることが多いが、徐々に分散し、4齢幼虫を経て蛹化する
- 幼虫が見られる5月から8月にかけて、連続して被害が発生する
- 被害は?
- 幼虫も成虫も主に葉裏から表皮を残して削り取るように食害する。葉脈の硬い部分を残して食害するので、被害痕はレース模様になる。葉のほかに茎や果実表面を食害することもある
- 多数寄生し葉の食害が進むと生育は抑制されたり、枯れたりする
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ハスモンヨトウ
チョウ目/ヤガ科
幼虫
- 薬剤
- ファルコンフロアブル
- どんな虫?
- 80種以上の作物に加害報告
- 関東・東海以西では常発、東北でも年により発生
- 施設栽培の普及が発生地域拡大の要因の一つ
- 春期は低密度で、盛夏〜秋に発生が急増
- 高温・少雨条件では大発生の傾向
- 幼虫の体色は変化に富む(頭部やや後方の2つの黒斑が特徴)
- 生態は?
- 南方系害虫で、休眠性(冬眠)なく、耐寒性弱い
- 年4〜6回(加温ハウスでは通年)発生
- 葉裏に鱗毛で覆われた卵塊(数十~数百粒)を産下、1雌の総産卵数は1,000〜3,000粒
- 孵化〜若齢幼虫は集団生活
- 中齢以降幼虫は分散。成長につれ夜行性が強まる
- 発育期間(卵・幼虫[6齢まで]・蛹・成虫):約35日/25℃、約26日/80℃(食草で変わる)
- 地中に浅く潜り蛹化
- 被害は?
- 若齢幼虫は集団で葉裏を食害。葉表の表皮がカスリ状に白く透ける
- 中齢幼虫以降は分散、主に葉に穴をあけ食害
- 成熟幼虫時には食害は急増(生涯摂取量の97%以上)。果実も加害し、果面に不規則な食害痕が残る
- 成熟すると薬剤耐性が増し防除困難に
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キャベツ菌核病
糸状菌 Sclerotinia sclerotiorum
被害株
- 薬剤
- 三洋NCS
- どんな病気?
- 多犯性で広範な果菜類や葉菜類に感染
- 耐久器官としてネズミの糞に似た黒い菌核をつくる(地表近くでは2年程度生存)
- 子のう盤(キノコ、直径2〜8mm)より飛散する胞子から感染、ハクサイ・キャベツでは菌核から菌糸が直接伸びて感染も
- 舂秋のやや冷涼期に発生、曇雨天が助長
- 感染は?
- 土中の菌核は数カ月休眠し越冬・越夏
- 休眠後、菌核上に複数の子のう盤が裸出(最適温度:15~16℃)
- 8個の子のう胞子が子のう内に形成され飛散
- 植物上で胞子発芽し菌糸で傷口や衰弱箇所から侵入
- 病斑上で菌糸塊が固まり菌核を形成
- 症状・被害は?
- 初期は地際付近の葉柄や葉に淡褐色で水浸状の病斑が現れる
- 拡大した病斑部はやや凹み飴色に変色し軟化腐敗
- 結球株の表面被害葉をはがすと白色綿状に密生した菌糸と黒色の菌核が見られる
- 軟腐病のような悪臭は生じない
病害:加害部図解
※病名をクリックしていただくと詳細が表示されます。
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黄化えそ病
ウイルス
トマト
- 薬剤
- ウィルス病そのものに効く薬剤はない(アザミウマ類を防除し、感染防止を図る)
- どんな病気?
- トマト、ナス、ピーマン、レタスほか花卉類で発生
- アザミウマ類が媒介
- 特に、90年代にミカンキイロアサミウマ侵入以降、本虫の高い媒介能力と各種殺虫剤への耐性により被害が拡大
- ウリ科作物ではミナミキイロアサミウマが媒介による黄化えそ病(MYSV)が問題
- 感染は?
- ウイルス感染した周辺作物や雑草(キク科、ヒユ科、マメ科他)が感染源
- 病原ウイルスは、「ミカンキイロ」、「ヒラズハナ」、「ダイズウスイロ」、「ネギ」などのアサミウマにより媒介される
- 1齢幼虫が感染植物を15分以上吸汁すると保毒
- 虫体内で増殖後に媒介
- 保毒成虫が健全作物を吸汁すると陲液から感染
- 経卵伝染はしない
- 症状・被害は?
- [トマトの場合]
- 上位葉に退緑および褐色に壊疽した斑点や輪紋斑を生じ、葉先より黄化し、し、しおれる
- 茎は褐色条斑を生じ、病勢が進むと空洞化し萎凋・枯死する
- 果実では褐色えそ斑点や輪紋斑を生じコブ状の奇形果になる。肥大後に感染すると着色がまだらに
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黄化葉巻病
ウイルス
トマト
- 薬剤
- ウィルス病そのものに効く薬剤はない(タバココナジラミ類を防除し、感染防止を図る)
- どんな病気?
- タバココナジラミ類が媒介
- 元々はイスラエルで発生、日本では1996年に初確認後、西日本~南東北まで発生拡大
- トマト間が主な伝搬経路
- イスラエル系統(激症型、トルコギキョウにも発病)とマイルド系が存在。両系統に有効な耐病性品種も開発されている
- 感染は?
- 感染したトマトやミ二トマトが主な伝染源(野良生えや家庭菜園も防除上重要)
- タバココナジラミ類成虫(バイオタイプQとB)が媒介・感染株に寄生した成虫および幼虫が保毒。羽化成虫1頭で多数株を感染させる
- 感染株は夏期には約2週間以内に発病、低温ほど潜伏期間は長く3カ月におよぶ場合も
- 媒介昆虫の中間宿主となる。雑草防除も予防に繋がる
- 症状・被害は?
- 初期は,新芽付近の葉が黄化し巻き上がる。さらに葉脈間が黄化し縮葉、発病部位より上の節間が詰まる
- 病勢が進むと頂部が叢生し、株全体が萎縮
- 発病前に着果したものは収穫可能
- イスラエル系統とマイルド系統は症状だけで区別できない。混発地域もある
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かいよう病
細菌
トマト
- どんな病気?
- トマトのみを侵す
- 土壌伝染、汁液伝染、種子伝染し全生育期間を通じ感染の恐れ
- 全部位に、気孔・水孔、毛茸の折ロ、その他の傷口から感染
- やや高温、多湿条件で細菌の増殖・感染が活発に
- 降雨日(傷口が乾きにくい)に芽かき作業など行うとまん延を招く
- 感染は?
- 種子や土中の被害残渣に付着した細菌が感染源
- 種子からの伝染や、降雨などで茎葉に付着した泥水の細菌が気孔や傷口などより侵入
- 細胞間隙で増殖、維管束に入るとさら上下にまん延
- 発病気温は16~38℃(最適:24~28℃)・降雨や高湿度時に罹病部より漏出した細菌や、管理作業で細菌に汚染した手やハサミが周辺株にニ次伝染を引き起こす
- 症状・被害は?
- 収穫期近くに発症
- 茎内部(維管束等)が侵されると(褐変崩壊)、初期は下葉から萎れを生じ、最後には株全体の葉が褐変し縮れ垂れ下がる
- 茎、葉、顎等にニ次伝染すると白~褐色のやや凸型コルク状の小斑点を、果実では白ぶちの鳥目状病斑(数ミリ)を生じる
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うどんこ病
糸状菌
なす
- 薬剤
- ラリー水和剤
- どんな病気?
- 広範な植物で問題になるが、病原菌は多種あり作物によって感染する菌が異なる
- 外部寄生性のものが多く、作物の葉や果実表面をうどん粉のように覆う(参考:L.taurica菌は内部寄生)
- やや乾燥した条件でも発病しやすい
- 薬剤耐性菌の発達が問題になる(特にウリ科作物)
- 感染は?
- 施設内で生育中の作物上では菌糸・分生子で、露地では罹病植物残渣の病斑上で「閉子のう殻」を形成し越冬
- 分生子や子のう胞子が風散し周辺の株(または他の寄主植物を経由し)に感染
- 葉・果実上で発芽し、表皮細胞に付着し吸器により養分摂取。植物表面の菌叢に無数の分生子柄が伸び、その先に分生子が形成
- 分生子が飛散しニ次感染を繰り返す
- 発芽適温は20~25℃
- 症状・被害は?
- 初期は下葉の表面に白いカビが丸くパッチ状に生じる
- 下葉に黄化や枯死が現れ、しだいに上葉にも広がる
- 収量への影響は少ないが、秀・優・良果実の割合が減少する
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菌核病
糸状菌
きゅうり
- どんな病気?
- 広範な野菜・花卉を侵す
- 菌核(黒いネズミの糞状)が伝染源)
- 主に果実や茎で発病し被害
- 20℃前後のやや低温、過湿条件で多発。露地では晩秋・早舂、ハウスでは冬期に発生
- 夏期湛水(菌核の死滅)や天地返しマルチ(子のう盤形成抑制)で発生抑制に役立つ
- 感染は?
- 土壌中で菌核が越冬および越夏
- 5~20℃で菌核から子のう盤(小型きのこ)が抽出、傘上部に無数の胞子を形成
- 胞子は風で飛散、茎(傷口)や咲き終わった花弁に付着すると菌糸で侵入
- 好適条件下では、感染1~数日後に発病
- 病斑表面を被う気中菌糸(白カビ)から菌核が形成される
- 病斑上の菌核は二次伝染せず、地面に落下し休眠する
- 症状・被害は?
- 果実では、初めは水浸状の病斑が顎や肩付近、花落ち部に生じる
- 腐敗が進むと病変部は茶褐色水浸状に、白綿状のカビで覆われる(菌核が散見される)
- 茎では、地際部や分岐部が感染を受けやすい(果実と同様の症状を示す)。病斑が茎を取り巻くと上部はしおれ枯死する
-
疫病
原生生物(卵菌類)
トマト
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- ジマンダイセンフロアブル
- ゾーベックエニケード
- ゾーベックエニベル
- コサイド3000
- どんな病気?
- Phytophthora属菌は多くの作物に、疫病や腐敗病を起こす
- 病原の汚染土壌が感染源
- 気温20℃前後で、作物が濡れた状態が続くと、作物体の部位を問わず二次伝染し急激にまん延
- 初期防除の徹底が必要
- 感染は?
- 好適条件(地温15~16℃以上)で卵胞子が発芽、遊走子のうができ8~40個の遊走子を放出
- 降雨などの水はねで遊走子が茎葉に付着、表皮細胞から菌糸が侵入(一次伝染)
- 感染数日後には多数の遊走子のうを病斑上に形成
- 遊走子の放出、移動、発芽(二次伝染)には水の介在が必要
- 症状・被害は?
- 下葉より通常発生
- 初期病斑は灰緑色水浸状の不定円型の斑点
- 葉では暗黒褐色の大型病斑になる。乾燥すると茶褐色に(破れやすい)
- 茎や果実(特に幼果)は軟化腐敗し暗黒褐色で凹んだ病斑になる
- 多湿時には茎葉、果実病斑上に薄い白カビを生じる
-
灰色かび病
糸状菌
トマト
- どんな病気?
- 多くの野菜・花卉類で被害が問題となる
- 通常は、開花後しぼんだ花弁や傷口・枯死葉などを足がかりに感染
- 特に果実被害が大きいが葉・茎も侵される
- やや冷涼で多湿な条件や日照不足だと発生しやすい
- 複数の系統の薬剤に耐性菌の発達が認められている
- 感染は?
- 被害作物・残渣の組織内に菌糸や菌核、分生子で越冬・越夏
- 作物不在時にも土中で腐生生活を送る
- 適温(15~20℃)で高湿度時に分生子が盛んに形成され、空中に飛散する
- 感染に適する部位(前述)に分生子が付着すると発芽・侵入
- 感染後2~3日経過すると病斑ができ、無数の分生子が形成される。
- 短期間に何回も伝染を繰り返す
- 症状・被害は?
- 果実では暗褐色で水浸状の病斑ができ、拡大すると軟化腐敗。高湿度時には灰褐色のカビが覆う
- トマトの果面には、「ゴーストスポット」(ドーナッツ状の白い斑紋)が生じることもある
- 葉では円形~不整形で灰褐色(輪紋状)の大型病斑を形成
- 茎でも感染し、上部が枯死することもある
-
葉かび病
糸状菌
- どんな病気?
- トマトの葉の常発病害
- ハウス栽培で問題。晩秋~早舂の比較的低温・多湿条件で発生しやすい
- 肥料切れなど株の衰えが発病を助長
- 抵抗性品種が開発されているが、それを打破するレースの発達が問題となっている
- 酷似した病徴に『すすかび病』がある(顕微鏡で判別)
- 感染は?
- 被害葉、種子、施設資材上に菌糸で越冬し伝染源に
- 感染は風で葉上に付着した分生胞子が発芽し、気孔から侵入
- 潜伏期間が2週間。葉表面には不定形の黄色病斑が生じ、葉裏に灰黄色~緑褐色のビロード状のカビ(菌そう)が生じ無数の分生子が形成される
- 発育好適条件は温度20~25℃、湿度90%以上で、ニ次伝染が連続して起きる
- 症状・被害は?
- 主に葉に発生するが、まれに茎、花、幼果にも発生
- 下葉から発生し、上葉に広がる
- 病斑が多数現れ葉の大半を占めると、葉は乾燥し巻き上がり枯死
- 葉の枯死が増えると着果不良、果実の肥大不良、早期着色の原因となる
-
輪紋病
糸状菌
トマト
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- どんな病気?
- ナス褐斑病、ジャガイモ夏疫病、ピーマン白星病の原因菌でもある
- 病斑上にできた分生子が飛散し周囲に伝染
- 葉に感染すると病斑は輪紋状に周囲を壊死させながら拡大
- 高温、やや乾燥条件で発生
- 着果後に肥料切れを起こすと発生しやすい
- 感染は?
- 宿主作物の病斑上や土中の被害残渣に菌糸や分生子で越冬
- 種子伝染もする
- 気温上昇に従い、分生子(越冬後、および、新たに菌糸から形成)が飛散
- 葉上に付着し、発芽すると菌糸が表皮細胞(クチクラ層)を壊し侵入・本菌の生育適温は26~28℃・病斑形成までは2~3日と短い
- 病斑上では多数の分生子が形成され、二次伝染を繰り返す
- 症状・被害は?
- 葉の初期病斑は暗褐色水浸状の小斑点。やがて緑褐色~黒褐色で同心輪紋状の大型病斑(5~10mm)になる
- 茎や果実でも輪紋状病斑が出る
- 多湿条件下では病斑中心部にヒロード状の黒カビを生じる
- 激発すると下葉から枯れ上がり、結実不良を招く
-
すすかび病
糸状菌
なす
- 薬剤
- ラリー水和剤
※感受性低下が見られる地域もある
- どんな病気?
- ナスとヒラナス(台木)の葉に発生。他の作物には出ない
- ハウス栽培特有の病害で、一度発生すると常発化しやすい
- 近年、殺菌剤耐性菌出現で発生が増えている産地もある
- なすのすすかびはMy corellnella属性、トマトのすす力ビはPseadocerxspora属性とそれそれ別の菌によって引きおこされる
- 感染は?
- 被害葉に生存する菌糸・分生子、および施設用資材に付着した分生子が伝染源
- 飛散により葉に付着した分生子は高湿度条件で発芽
- 感染後の潜伏期間は15~30日。多湿では発病が早まる
- 発育適温は約20~25℃。30℃以上は生育に不適
- 病原菌の分生子は多湿条件で多量に形成。湿度が下がると離脱・飛散が促される
- 症状・被害は?
- 収穫期以降に下葉から発生することが多い
- 初期は葉裏に白色カビの密生した小斑点を生じ、灰褐色のススで覆われた円形病斑(0.5~1cm)に進展
- 葉表面は薄い黄褐色~褐色で周縁が不明瞭な丸い病斑となる
- 多発すると葉が退色黄化し落葉を招く
-
斑点細菌病
細菌
きゅうり
- 薬剤
- コサイド3000
- どんな病気?
- シュードモナス目、シリンゲ菌のウリ科(メロン、カボチャなど)だけを侵す病原型による
- やや低温・多湿で発生するが、全作型で栽培期間を通じ問題になる
- 病斑は『べと病』に似るが葉裏にカビを生じない
- 発病後に有効な防除薬剤が少なく、過湿防止と予防防除が大切
- 感染は?
- 保菌種子や被害株残渣・土壌中の細菌が感染源
- 出芽時には子葉に種子・土壌感染する。定植後は風雨や農作業等で病原細菌が作物に付着し感染
- 細菌は気孔・水孔、傷口から侵入。細胞間隙内で増殖
- 20~30℃で発病。飽和湿度が1日以上続くと大型病斑が形成される
- 発病部に漏出した細菌が降雨や落下水滴などで周囲に飛散し感染を繰り返す
- 症状・被害は?
- 葉の初期病斑は水浸状の小斑点が多数現れ、やがて葉脈で囲まれた黄褐色の角型病斑に。灰白色に退色すると穴あきになりやすい
- 果実は先端側で発病多く、暗褐色で凹んだ病斑が生じ、亀裂からは白ヤ二(細菌泥)が漏出。果肉は軟化腐敗する
- 輸送中や市場で発病する場合がある
-
べと病
糸状菌
きゅうり
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- ジマンダイセンフロアブル
- ゾーベックエニケード
- ゾーベックエニベル
- どんな病気?
- 本菌はウリ科にのみ感染、ハクサイなどのべと病菌とは別種
- 活物寄生菌のため生育中の寄主がないと長く生存できない
- 過湿条件、やや低温で多発しやすい
- 肥料切れやなり疲れも発病を助長
- 薬剤耐性菌問題がある(ストロビルリン系薬剤も一部地域で問題)
- 感染は?
- 寄生作物閑作期間の生存状況は不明
- 分生子が飛散し伝播
- 葉に付着した分生子は、葉面の濡れが続くと4~5個の遊走子を放出。遊走子から発芽管が伸び気孔より侵入
- 感染4~10日後に病斑形成
- 葉裏の気孔より分生子柄が突き出し、先端に多数の分生子ができる(飛散し二次感染する)
- 病徴発現適温は13~20℃
- 症状・被害は?
- 葉表では、淡黄~淡褐色の病斑が葉脈で区切られモザイク状に生じる。葉裏には紫黒色のカビがビロード状に密生
- 発病は下葉から上葉に順次
- 未展開葉や老化葉での発生は稀れ(老化葉での発生は、斑点細菌病の場合が多い)
- 激発では収量減や曲がり果増加を招く
-
黒星病
糸状菌
きゅうり
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- どんな病気?
- 本病斑上に黒カビ(菌糸が暗緑色)を生じる
- キュウリやマクワウリ、メロンなどでも発生
- 低温多湿で発生。25℃以上では発生しない
- 茎の先端に近い未展開の若葉や巻きひげ、幼果が初めに感染を受ける
- 果実で発病すると顕著な収量・品質低下を招く
- 感染は?
- 菌糸・分生子で被害株上や農業資材に付着し越冬
- 好適条件で分生子が風で飛散し寄主に付着すると二次伝染が起きる
- 種子伝染もする
- 発病最適温度は17~21℃付近。湿度85%以上で胞子が発芽する
- 症状・被害は?
- 葉の初期病斑は黄色い円~楕円の小斑点、淡褐色に変わり、小穴に
- 茎は凹んだ条斑から亀裂ができ黒カビに覆われる。茎先端が感染すると芯止まりし、腋芽が異常に生じ「かんざし」状に
- 果実ではカサブタ状に褐変し凹んだ病斑にヤ二や黒カビを生じる。果実は病変部からわん曲
-
炭そ病
糸状菌
きゅうり
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- どんな病気?
- 炭そ病の病原菌の中で、ウリ科を広く侵す
- 露地栽培では普通に発生するが、施設ではほとんど発生しない
- 伝染には水が関与。多雨などの多湿条件が発生を招く
- ウリ類の連作や、窒素過多、前にウリ科作物で使った支柱等を無消毒で使うと発生助長の恐れがある
- 感染は?
- 菌糸(被害作物・残渣中)や分生子(病斑上、土中、農業資材上)で越年
- 降雨などの水滴で分生子(粘質物で覆われた集塊)が周囲に飛散、作物に付着し感染
- 適度な温度・湿度条件で分生子が発芽、菌糸が表皮組織を貫通し内部で増殖し病斑を形成・病原菌は6~32℃(適温は23℃)で生育
- 病斑上に形成された分生子により二次伝染が繰り返される
- 症状・被害は?
- 葉では、最初は小さな黄色斑点で、やがて黄褐色の葉脈を跨いだ大型円形病斑になる。周囲が褐変し内側が白く退色するとよく破れる
- 茎や果実では褐色の楕円形で凹みのある病斑を形成、表面に多数の小黒点を生じる。多湿時には鮭肉色の粘液(分生子の集塊)が滲み出る
-
褐斑病
糸状菌
きゅうり
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- ジマンダイセンフロアブル
※耐性菌問題を確認の上、ローテションで防除
- どんな病気?
- トマトの褐色輪紋病も本病による
- ブームレス台木の普及(ケイ酸不足)、周年栽培、多肥栽培、品種変遷で1980年代以降より重要病害化
- 高温多湿で多発しやく、施設栽培で被害が大きい
- 窒素過多や肥料切れが発生助長
- 薬剤耐性菌が発達しやすい
- 感染は?
- 被害茎葉や土壌表面、施設用資材に付着した分生子が感染源となる
- 二次伝染は、葉表の病斑上や裏側の菌そうに形成された分生子が空中に飛散し起こる。日中高湿度時によく飛散する
- 湿度95%以上で分生子は発芽し葉肉内に侵入
- 発病適温はやや高温の25~30℃
- 症状・被害は?
- 病勢は下葉から上方へ進展
- 初期病斑はハローを伴った黄褐色の小斑点(ゴマ粒大)、拡大すると灰褐色の丸みを帯びた不整形病斑になる
- 多発時は病斑が融合し葉が枯死。茎にも病斑(紡錘型)が多数出現
- 栽培後期に病勢が急展すると早期枯上がりで減収を招く
-
つる枯病
糸状菌
メロン
- 薬剤
- ジマンダイセン水和剤
- どんな病気?
- ウリ科作物を侵す。スイ力、メロンで被害が大きい
- 茎の地際部で発病することが多く、激発では株は枯死
- 病勢進展は遅く、見逃しやすい
- 土壌の水ハネで最初の感染を起こす
- 適温(20~24℃)で多湿条件が続くと多発
- 生育後半や成り疲れで発生しやすい
- 感染は?
- 分生子殻・子のう殻で被害残渣中や資材に付着し越冬・越夏
- 適温(比較的低温)になり分生子・子のう胞子を放出
- 雨滴などで分生子・子のう胞子が作物に付着し一次伝染
- 病斑が形成されると多数の小黒点粒(主に分生子殻)を形成
- 多湿条件で分生子が周囲に飛散しニ次伝染
- 環境状態が悪化(乾燥など)すると小黒点粒で越冬・越夏
- 症状・被害は?
- 茎では主に地際部で発生。病斑部は軟化し(ヤ二を吹くことも)、乾燥すると灰白色になり表面に小黒点粒を多数形成。症状が進むと株はしおれ枯死する
- 葉では葉縁からくさび状に入り込んだ褐色大型病斑を生じる
- 果実は先端部が細りわん曲、内部は褐色に心腐れになる
病害:加害部図解
※害虫名・病名をクリックしていただくと詳細が表示されます。
害虫や病気がこんなに
たくさんあるんだ・・・
適切な農薬の使用が大切だね
-
青枯病
細菌
なす
- 薬剤
- 三洋NCS
- どんな病気?
- ナス科作物など38作物で発生を確認(本邦)
- 細菌は寄生植物不在でも湿潤土壌では5年以上生存。地表下1mからも検出
- 地温30℃以上、過湿土壌で多発を招く
- 作物は導管内の細菌増殖により水分吸収が妨げられ枯死
- センチュウ寄生や塩類障害が発病を増長する
- 感染は?
- 細菌は罹病根、非宿主の根圏や土壌中に生息
- 寄主作物が植えられると根圏で増殖
- 菌量が増え、温度が上昇(13℃以上)すると根の傷口から侵入(一次伝染)
- 導管中で増殖し植物体内にまん延
- 21℃以上で発病(適温:25~37℃)
- 発病株の根から細菌が流出、根の接触や水の移動で隣接株に伝染
- 剪定や収穫作業や自然に生じた傷口からも伝染
- 症状・被害は?
- 初期は、株先端の茎葉が日中にしおれる(朝夕や曇雨天日には回復)
- 病勢の進展が早く、数日後には株全体が萎凋し青枯症状となる
- 周囲にも次々に発病株が増える
- 茎を切断すると維管束が飴色に変色。先を水に浸すと細菌汁液で白濁
-
萎凋病
糸状菌
トマト
- どんな病気?
- 土壌病害フザリウム菌(Fusarium oxysporoum)のトマトにのみ寄生する分化型(f.sp./ycopersici)による
- 本菌には寄生性が分化した80以上のレースがある
- 土壌伝染・種子感染する
- 線虫や塩害などで根が損傷すると発生を助長
- 抵抗性台木の普及で発生は減少傾向
- 感染は?
- 基本的な生態は、キュウリつる割病(フザリウム菌)に準ずる
- 病原菌は菌糸で根から侵入して導管内を伸展する。地温25~28℃のやや高温が発病適温
- Fusarium oxysporoum f.sp. radicis-/ycopersiciによる「根腐萎凋病」の発病適温は10~20℃で、低温時に発生
- 症状・被害は?
- [萎凋病]
- 株の生気が衰え、日中は葉がしおれ夜間に回復。やがて回復せず下葉より上方に葉が黄化、乾燥枯死し垂れ下がる
- 末期には根の一部に褐変が見られる
- [根腐萎凋病]
- 根全体が褐変し細根が腐敗消失。地上部症状は萎凋病と似るが病勢は遅い
-
つる割病
糸状菌
きゅうり
- どんな病気?
- キュウリを侵すフザリウム菌の分化型、すいか(つる割病)やトマト(萎凋病)は別の分化型
- 土壌伝染・種子伝染する
- 土中で病原菌は長期間生存
- 地温20℃以上で、多湿土壌が乾燥すると急激に発生
- センチュウ寄生や窒素過多は発生助長・かぼちゃ台には感染しない
- 感染は?
- 土壌中や被害残渣中の厚膜胞子が主な伝染源
- 作物が近づくと発芽、根先端部や傷口から菌糸で侵入
- 導管で増殖し分生子を形成
- 分生子は導管流で分散、作物内部にまん延、導管を詰まらせ毒素を産出する
- 茎表面の患部露出部では大量の分生子を形成
- 菌糸・胞子とそれらからできた厚膜胞子が被害残渣とともに土中へ
- 症状・被害は?
- 初期は、下葉が黄化、株の生気が失せ日中にしおれが目立つ、やがて株全体がしおれ、全葉が黄褐色に枯れ垂れ下がり枯死する
- 株元は黄褐色に変じ、多湿時には白色~ややピンク色のカビを生じ、割れ目からはヤニを出す
- 根は飴色に変色、株は一容易に引き抜ける
-
褐色根腐病
糸状菌
トマト(被害株と被害根)
- 薬剤
- 三洋NCS
※灌水チューブ法
- どんな病気?
- トマトだけに被害
- コルキールートとも呼ばれる
- 土壌病害で根部を褐変腐敗させる。激発では株は枯死
- 低温期の施設栽培で発生(萎凋病より低温)
- 線虫寄生や土壌の過湿過乾、窒素肥料過多は根を傷め発病を助長
- 耐病性台木や還元土壌消毒(フスマ混和)、土壌くん蒸処理が有効
- 感染は?
- 被害根とともに土に残った厚膜胞子が伝染源
- 厚膜胞子は土中で2~3年以上生存
- 地温が上がると、菌糸を伸ばし、トマトの根より侵入
- 感染適温が異なる2つのバイオタイ(地温:15~18℃および、22~23℃)があり、全国各地で混発
- 培養からは柄子殻と柄胞子の形成が認められている
- 発病圃場からの採取種子からも伝染
- 症状・被害は?
- 自根栽培では、初め先端の若葉がしおれ下葉から黄化、しだいに枯れ上がる
- 根は最初に細根が消失、病勢が進むと太い根は褐変、表面はコルク化し亀裂が入り松の根状に
- 地上部は萎凋し、茎の地際部がややくびれ黒褐色に変色するが、維管束に褐変を生じない
-
半身萎凋病
糸状菌
トマト
- どんな病気?
- ナス、トマトの他、イチゴ(萎凋病)やはくさい(黄化病)など多作物を侵す
- 土壌中で微小菌核は3年以上生存
- やや冷涼で湿潤な条件で発生しやすい(夏期は抑制)
- 病気の進展は緩慢、収穫期にまん延に気づくことも
- センチュウ寄生や植え傷みは感染を助長
- 感染は?
- 被害残渣中(土中)の微小菌核が伝染源
- 作物根の分泌物で菌核が発芽、菌糸で根に侵入
- 菌糸は導管で増殖、分生子を形成
- 分生子は分散し、導管が密に分布する箇所で定着・増殖(導管損傷=水分運搬停止)
- 平均気温20~25℃で発病(さらに高温では発病抑制)
- 寄主が衰弱し増殖に適さなくなると微小菌核を形成
- 隣接株にニ次伝染しない
- 症状・被害は?
- 下葉から発病、株片側だけに発症することが多い
- 葉は、葉脈に囲まれた一部が黄化、次第に全体に及び垂れ下がる
- 症状はゆっくり上位葉に進展、枝を萎凋させる
- 株全体に及ぶと枯死を招く
- 発病株は生育が劣り着果不良・落果を招く
- 葉柄や導管は褐変
-
ネコブセンチュウ類
ハリセンチュウ目/メロイドギネ科
サツマイモネコプセンチュウ キタネコブセンチュウ ほか2種ナス(被害根)
- 薬剤
- テロンまたは旭D-D
- 三洋NCS
- どんな虫?
- 線形動物で土壌に棲息
- 寄生植物の根内部に侵入し生育
- 根部内に雌成虫が寄生すると根こぶを生じさせる
- 土壌中の棲息密度が高まると大きな被害を与える
- 土壌病害の感染を助長させる
- 生態は?
- 冬期は活動停止、卵と第2期幼虫で越冬
- 卵は地温10〜15℃でふ化。卵殻内に第1期幼虫は留まる
- 第2期幼虫は土壌中に脱出し、根の先端部より内部に侵入
- 幼虫が摂食を始めると、ロ針刺激により周辺細胞は異常分裂、巨大化
- 根の内部で2回脱皮後、雌成虫(洋梨型)に
- 卵のう内(ゼラチン状)に数百卵を産下、卵のうは根の外側に突き出される
- 生育適温では、1世代に約1カ月
- 被害は?
- 根系が正常に伸長せず、根は短く部分的に肥大。数珠状に根こぶが生じる
- 地上部は葉色が退色し、しおれや枯上がりを生じる。被害が激しいと枯死
- 収穫期を迎えると急に病徴が進む
- センチュウ寄生を受けた作物は、一部土壌病害の感染を受けやすい(複合病害)
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- トマト 病害虫 防除薬剤 参考表
なす 病害虫 防除薬剤 参考表
きゅうり 病害虫 防除薬剤 参考表
農薬使用の際は、登録内容をご確認の上、登録使用基準を厳守してください。
医薬用外毒、劇物は、取扱いしておりません。